うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち  田中 圭一氏 (著) 読んだ

概要
引用https://www.amazon.co.jp/dp/4041037085?tag=kumakatsu-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=4041037085&adid=1GTH2KYYG6QFC6VGQJXQ&

商品の説明
メディア掲載レビューほか
ある漫画家がうつ病のトンネルから脱出するまで

『うつヌケ』できた恩返しにこの漫画を描いた

自身もうつ病を患い、快復した経験をもつ田中圭一さんが、同じく経験者たちにインタビューを重ねた漫画『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)が話題を呼んでいる。

「僕が“うつヌケ"できたのは1冊の本がきっかけでした。漫画家であるからには、いま苦しむ人に役立つ漫画を描いて恩返しせねばと思ったんです。そこでツイッターでうつ脱出経験漫画を描きたいと呼びかけたところ、後に担当となる編集者から即座に連絡がきて。その打てば響く反応こそ『この漫画はいけそうだ』という最初の手応えでした」

登場するのは大槻ケンヂ、宮内悠介、内田樹といった有名人から、OL、編集者、教師と多様な顔ぶれだ。

「うつは特別な人だけのものではなく誰だって罹る可能性があるものだと伝えたくて、幅広い方々に語ってもらいました。梅雨時は落ち込んだり、夏には浮き立ったり、そんな気分の上下はみんなありますよね。うつは、その程度が大きくなったようなものです」

うつの身近さを示す表現として作中では“うつ君"というぷにょぷにょした物体の群れが描かれる。うつの度合いで数が増えたり減ったり、色が黒から白に変わったりするうつ君は、病なのにどこか愛嬌がにじむ。フルカラーの電子版では色彩による表現も多用した。

「漫画のもつ抽象化や擬人化の効果を今回は最大限に使いました。うつヌケした時って本当にモノクロの世界がぱーっと色を取り戻すような感覚なんです」

劇的変化は創作にも及ぶ。田中さんといえば手塚治虫筆頭に数々の大御所そっくりの画風を駆使した下ネタギャグが人気の漫画家だ。しかし本作では画風はそのままに真摯な体験談をストレートに描いた。『うつヌケ』と同時期に刊行の『ペンと箸』では有名漫画家の2世に取材。赤塚不二夫池上遼一らを真似た絵で彼らと子供の食事のエピソードを描き、ホロリとさせる。

「以前は“泣ける"“感動モノ"が嫌いでした。でも、うつの間は脳が寒天に包まれたように何も心に届かなかったのが、抜けた途端にいろんなものに感動するようになった。その喜びに、自分も人を感動させるものを描きたいと素直に思うようになりました。うつヌケして頭がクリアになると、ギャグ漫画で培った笑わせるためのロジックやテクニックは感動を生み出すために応用できることも解りました。根は同じですね」

と取材の最後に田中さんが「よかったらどうぞ」と差し出すのは、裸率高めのギャグ同人誌。ぶれない!

評者:「週刊文春」編集部

(週刊文春 2017.3.9号掲載)

トンネル脱出

うつ病に悩む人は多い。ぼくのまわりにも何人かいるし、他人事ではない。

田中圭一の『うつヌケ』は、うつ病を真っ暗なトンネルにたとえ、そこから抜け出した人びとに取材したコミックエッセイである。

はじめに著者自身の体験が紹介される。サラリーマンとマンガ家という二つの仕事で忙しく働いていた著者は、転職をきっかけにうつ病になる。「あなたのうつ病は一生もの」ということばで医者に不信感をいだいて悪化。勝手に服薬をやめたり、医者を転々としたりとますます悪化。

トンネル脱出のきっかけは、コンビニで見つけた文庫本だった。うつ病にかかった精神科医が書いたエッセイである。著者は再発と回復を繰り返しながらも、自分の場合は気温の変化が引き金でうつ病になることに気づく。そして、「うつはそのうち完全に治る」と実感するに至る。

ここまではいわば序章。以下、著者が会って聞いた、さまざまな人の「うつヌケ」体験談が続く。

この人もうつ病に苦しんでいたのか、と驚く。ミュージシャンの大槻ケンヂ、AV監督の代々木忠、小説家の宮内悠介、熊谷達也、そして思想家の内田樹も。彼らに共通するのは、多忙さであり、責任感の強さであり、無意識に設定する目標の高さである。

「うつヌケ」のきっかけとなるのも人それぞれ。大槻ケンヂの場合は森田療法との出会いであり、内田樹合気道を通じて「脳を休ませて身体の声を聞く」ことに気づく。

マンガという表現がテーマにぴったりだ。軽い気持ちでパラパラめくれるのがいい。なんだか効きそう。

評者:永江朗

(週刊朝日 掲載)
内容紹介
パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!

著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!

目次
第1話 田中圭一の場合1
第2話 田中圭一の場合2
第3話 田中圭一の場合3
第4話 照美八角の場合
あの時ボクはうつだった その1
あの時ボクはうつだった その2
第5話 折晴子の場合
第6話 大槻ケンヂの場合
第7話 深海昇の場合
第8話 戸地湖森奈の場合
第9話 岩波力也・姉原涼子の場合
第10話 代々木忠の場合
第11話 宮内悠介の場合
第12話 鴨川良太の場合
第13話 精神科医・ゆうきゆうの話
第14話 ずんずんの場合
第15話 まついなつきの場合
第16話 牛島えっさいの場合
第17話 熊谷達也の場合
第18話 内田樹の場合
第19話 一色伸幸の場合
第20話 総まとめ
エピローグ
うつヌケこぼれ話 その1
うつヌケこぼれ話 その2
あとがき

著者について
●田中 圭一:1962年5月4日大阪府枚方市生まれ。近畿大学法学部卒業。大学在学中の1983年小池一男劇画村塾(神戸校)に第一期生として入学。翌1984年、『ミスターカワード』(『コミック劇画村塾』掲載)で漫画家デビュー。1986年開始の『ドクター秩父山』(『コミック劇画村塾』連載)がアニメ化されるなどの人気を得る。大学卒業後はおもちゃ会社に就職。パロディを主に題材とした同人誌も創作。最新刊は2017年1月刊『田中圭一の「ペンと箸」』(小学館)。

引用 終わり

感想
漫画で分かりやすく、うつ病について分かりやすくて良い。
私もうつ病になった時は、本書を参考にして、対策をしたい。