ざこ八 まとめ

引用 ざこ八(ざこはち) 落語: 落語あらすじ事典 千字寄席

眼鏡屋の二男坊の鶴吉。

年は二十二になるが、近所でも評判の男前で、
そのうえ働き者で人柄がいいときている。

そこで、これも町内の小町娘で、
金持ちの雑穀商・ざこ八の一人娘のお絹との縁談がまとまり、
鶴吉は店の婿養子に迎えられることになった。

ところが、その婚礼の当日、
当の鶴吉がふっと姿を消してしまう。

それというのも、
貧乏な眼鏡屋のせがれが玉の輿にのるのをやっかんだ連中が、
小糠三合あれば養子に行かないというのに、
おめえはざこ八の身上に惚(ほ)れたか、
などといやがらせを言うので、急に嫌気がさしたから。

それから十年。

上方に行って一心に働き、
二百両という金をためた鶴吉が、
久しぶりに江戸に戻ってきた。

十年前の仲人だった桝屋新兵衛方を訪ね、
ようすを聞いてみると、とうの昔に店はつぶれ、
ざこ八もこの世の人ではないという。

あれから改めてお絹に、
葛西の豪農の二男坊を養子にとったが、
そいつが身持ちが悪く、道楽三昧の末財産をすべて使い果たし、
おまけにお絹に梅毒まで移して死んだ。

ざこ八夫婦も嘆きのあまり相次いで亡くなり、
お絹は今では髪も抜け落ち、二目と見られない姿になって、
物乞い以下の暮らしをしているという。

「お絹を今の境遇に追いやったのは、ほかならぬおまえさんだ」
と新兵衛に言われて、返す言葉もない。

せめてもの罪滅ぼしと、
鶴吉は改めて、今では誰も傍に寄りたがらないお絹の婿となり、
ざこ八の店を再興しようと一心に働く。

上方でためた二百両の金を米相場に投資すると、
幸運の波に乗ったか、金は二倍、四倍と増え、
たちまち昔以上の大金持ちになった。

お絹も鶴吉の懸命の介抱の甲斐あってか、
元通りの体に。

ある日、
出入りの魚屋の勝つぁんが、生きのいい大鯛を持ってきた。

ところがお絹は、
今日は大事な先の仏(前の亭主)の命日で、精進日だからいらない、
と断る。

さあ、これが鶴吉の気にさわる。

いかに前夫とはいえ、
お絹を不幸のどん底へ落とし、店をつぶした張本人。

それを言っても、お絹はいっこうに聞く耳を持たない。

夫婦げんかとなり、勝つぁんが見かねて止めに入る。

「お内儀(かみ)さんが先の仏、先の仏ってえから今の仏さまが怒っちまった」

夫婦の冷戦は続き、
鶴吉が板前を大勢呼んで生臭物のごちそうを店の者にふるまえば、
お絹はお絹で意地のように精進料理をあつらえ始める。

一同大喜びで、両方をたっぷり腹に詰め込んだので、
腹一杯でもう食えない。

満腹で下も向けなくなり、
やっとの思い出店先に出ると、物乞いがうずくまっている。

「なに、腹が減ってるって? ああうらやましい」

感想
鶴吉氏とお絹氏の恋愛、喧嘩の話。
お絹氏の人生が、波瀾万丈ですごい。